7-16.昭和17年・満州国国宝展覧会   ・ 


左は、昭和17年9月10日から9月20日にかけて、帝室博物館にて開催された
【満州国十周年慶祝 満州国国宝展覧会】
の入場券です。

帝室博物館とは、現在の上野の東京国立博物館のことで、伯父の自宅からも歩いて行ける距離にありました。

そして満州国とは、昭和7年に旧日本軍や日本政府の後ろ楯のもと、中国から独立宣言をして建国した国です。
昭和8年に日本は国連を脱退しますが、この満州国を独立国として認めない国連の採決に対して、異を唱えて脱退する事になりました。

その後、日本からは満蒙開拓移民と称して20万人から30万人もの農業開拓移民が送り込まれます。

またラストエンペラーとしても知られる、中国清朝最後の皇帝の愛新覚羅溥儀は、この満州国皇帝にも即位し、日本にも昭和10年と昭和15年の2度来日しています。

昭和17年は、建国から10年となったことから、満州国の国宝が東京に渡って展示されます。

当時軍隊に入隊していた伯父が、この展示会にも行き、その時の入場券になります。



そして上がこの時の展示物の目録で、今で言う展覧会や展示会のパンフレットのようなものです。


目録最初に《表慶館及陳列配置圖》という頁がありますので、この展示は博物館内の表慶館で行われたようです。
この表慶館は明治33年(1900)に当時は皇太子だった大正天皇のご成婚を記念して計画され、国民が奉納した40万円余を資金に明治41年に竣工したものです。
因みに40万円と言う額は現在の20億円近い金額になります。

関東大震災の折には、博物館本館や他の施設が大きな被害を受ける中、この表慶館だけは被害が少なく、本館が新しくなって竣工する昭和12年までは、表慶館が唯一の博物館として開館していました。
尚、平成21年12月より表慶館は休館しています。

また目録表紙に描かれているのは【宋刻絲紫鸞鵲譜軸】という宋時代の花鳥の織物の絵で、こちらも展示されていたものの一つです。


四庫全書 文溯閣本

四庫全書 蒙古源流

国宝展覧会というように、この当時の貴重な品々が展示されたようで、一番の目玉は【四庫全書 文溯閣本】のようです。
目録の初めにもこの四庫全書の解説と共に写真が掲載されていますが、四庫全書とは清朝時代に当時の皇帝に命じられて作られた中国最大の漢書です。
解説を見ると、この【四庫全書 文溯閣本】の一部が展示されていたようです。


宋刻八仙介壽圖軸

元刻絲釋迦牟尼佛像軸

これ以外にも、【宋刻八仙介壽圖軸】、【元刻絲釋迦牟尼佛像軸】、【白釉鶏冠壺】、【明顧繍董書彌勒佛像軸】、【普賢菩薩 宋繍金剛般若波羅密經之内】など、現在中国の国内で展示されている国宝級のものが展示されたようです。


明顧繍董書彌勒佛像軸 

普賢菩薩 宋繍金剛般若波羅密經之内


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